《第六章》強情な霊 / 天国と地獄《Ⅰ》

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(1)ラポムレー――光による懲罰を受ける男性



(2)アンジェル――まったく意味のない人生を送った女性



(3)女王ドゥード――フランスで死亡したインド人

 インド人であるが、一八五八年、フランスで死亡。

――地上を去るときには、どんな感じがしましたか?

 「どう言っていいのか分かりません。まだ混乱しているからです」

――いま、幸福ですか?

 「自分の生き方を後悔しています……。なぜか、よく分からないのですが……、鋭い苦痛を感じます。『死ねば自由になれる』と思っていたのですが……。ああ、体が墓から抜け出せるとよいのに」

――インドに埋葬されなかったこと、つまり、キリスト教徒たちのあいだに埋められたことを悔やんでいますか?

 「はい。インドの地であれば、こんなに体が重い感じはしなかったでしょう」

――あなたの亡骸(なきがら)に対して行われた儀式については、どう感じていますか?

 「ほとんど意味がありません。わたくしは女王であったというのにわたしくの墓の前で、みながひざまずいたわけではありませんでしたから……。
 ああ、どうか放っておいていただけませんか……。わたくしは、話すように強制されていますが、本当は、わたくしが、いまどんな状態であるか、知られたくないのです……。わたくしは女王であったのですよ。どうか、察してください」

――私たちは、あなたに対して敬意を持っています。私たちの大切な教訓にしたいと思いますので、どうか質問にお答えいただきたいのです。
 あなたの息子さんは、将来、国を復興させると思いですか?

 「もちろんです。わたくしの血を引き継いでいますから、あの子には、充分、その資格があるはずです」

――いまでも、生前と同じく、息子さんの名誉が回復されることをお望みですか?

 「わたくしの血が大衆の中に混じることはありえません」

――死亡証明書に、あなたの出生地を書くことができませんでした。いま教えていただけますか?

 「わたくしは、インドでも最も高貴な家柄に生まれました。デリーで生まれたはずです」

――あなたは、あれほどの豪奢(ごうしゃ)に囲まれ、栄光に包まれて生涯を過ごされました。そのことを、いま、どのように感じておられますか?

 「あれは当然のことです」

――地上では、たいへん高い身分であられたわけですが、霊界に還られたいまも、同じように高い身分をお持ちなのですか?

 「わたくしは常に女王です!
 ああ、誰か、誰かおらぬか? 早く奴隷を連れてきなさい! 身のまわりの世話をする者がいないではないか! いったい何をしているのか! 早く! ……。ああ、どうしたのだろう? ここでは、誰もわたくしのことを気にかけてくれないようだ………。
 でも、わたくしは常に女王……………」

――あなたはイスラム教徒だったのですか? それとも、ヒンドゥー教徒だったのですか?

 「イスラム教徒でした。でも、わたくしは神よりも偉大であったので、神にかかわる必要はなかったのです」

――イスラム教もキリスト教も、人間を幸福にするための宗教ですが、両者には、どのような違いがあるとお考えですか?

 「キリスト教は、ばかげた宗教です。だって『人類全員が兄弟だ』などと言うのですから」

――マホメットについては、どうお考えですか?

 「あの男は王家の者ではありませんでした」

――マホメットには神聖な使命があったのでしょうか?

 「そんなことは、わたくしには関係ありません」

――キリストについては、どうお考えですか?

 「大工の息子のことなど、考えたことはありません!」

――イスラム教圏では、女性たちは男性の視線から守られていますが、これについては、どうお考えですか?

 「わたくしは、女とは支配する存在だと思っております。そして、わたくしは女でした」

――ヨーロッパの女性たちが謳歌(おうか)している自由をうらやましいと思ったことはありませんか?

 「ありません。彼女たちの自由にどんな意味があるというのかしら? 奴隷を持つ自由すらないのに」

――今回の転生以前に、どのような転生をされていたか、思い出すことはできますか?

 「わたくしは、いつだって女王として転生しているはずです!」

――お呼びしたとき、どうして、あんなにすばやく来られたのですか?

 「わたくしは、いやだったのですが、そのように強制されたのです……。わたくしが喜んで質問に答えているとでも思っているのですか? あなたは、自分をいったい誰だと思っているの?」

――誰に強制されたのですか?

 「知らない者です………。でも、おかしい……。わたくしに命令できる者などいないはずなのに」

――いま、どのような姿をしていますか?

 「常に女王です! ………。もしや、わたくしが女王ではなくなったなどと………。無礼者! 下がりなさい! それが女王に対する口のきき方ですか!」

――もし、われわれが、あなたのお姿を見ることができるとしたら、豪華な衣装を身につけた、宝石で飾られたお姿を見ることになるのでしょうか?

 「当たり前です!」

――地上から去られたというのに、まだ衣装や宝石を身につけておられるのですか?

 「もちろんです! ……。そのままです。わたくしは、相変わらず、地上にいたときのように美しいのです………。いったい、わたくしがどんな姿になっていると思っているの? 見えもしないくせに!」

――ここにいらして、どのような印象をお持ちですか?

 「できることなら来たくありませんでした。あなたがたの態度がぶしつけだからです。あなたがたは、いったい、わたくしが女王であることを知っているのですか?」

 聖ルイからのメッセージ:「そろそろ帰してあげましょう。かわいそうに、完全に迷っています。本当に気の毒な方です。さあ、これをよき教訓としなさい。高すぎるプライドのせいで、どれくらい彼女が苦しんでいるか、あなたがたには分かりますか?」

 いまは墓の中にいる、この身分の高い女性を招霊することにより、インドの女性が受ける情操教育の面に関して、これほど意味深長な返答が得られるとは思ってもみなかった。
 われわれは、むしろ、哲学とまでは言えないにしても、地上での栄華や身分の虚しさに対する健全な評価が引き出されるものと思っていた。ところが、まったくそうではなかった。この霊は、地上時代の考えをそっくりそのまま持ち続けていたのである。
 特に、プライドという幻想は完全に保たれており、そのために、自分の弱さを認められない。そして、そのことで非常に苦しんでいるのである。
 この章全体に関して言えば、強情な霊たちが、すべて、意地悪、かつ邪悪であるわけではない。「悪をなそう」と思っているわけではなくても、傲慢(ごうまん)、無関心、あるいは無気力から、強情となり、停滞している霊の数は、そうとう多いのである。
 だが彼らの不幸が、より耐えやすいわけではない。というのも、この世的な気晴らしがないだけに、「何もすることがない」という状態は、大変な苦しみとなるからだ。「苦しみが、いつ終わるか分らない」ということは、実に耐えがたいことである。
 しかし、彼らには、それを変える気がないのである。彼らは、地上にいるときに、自分自身に対しても、他人に対しても、役に立つことは何もせず、いわば無用の存在であった。そして、そのうちの、かなりの数の者たちが、人生に嫌気がさして、特に理由もなく自殺するのである。
 こうした霊たちよりも、はっきりとした悪霊たちの方が、かえって救いやすい。悪霊たちは、少なくともエネルギーにあふれており、いったん目を覚ませば、悪に邁進(まいしん)していたのと同じくらい熱心に、善の道を突き進むことになるからだ。
 無気力な霊たちがはっきり感じられるほど進歩するためには、数多くの転生を経験する必要があるだろう。ほんの少しずつだが、退屈に邪魔されながらも、何らかの職業に就いて、そこに楽しみを見出す、そして、やがては、その職業が必要と感じられるようになるまで頑張る。こうして、ゆっくりと向上していけばよいであろう。

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