《6章》初めての地上界との交信

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本章では私が初めて地上界との交信を試みた時のことを述べてみましょう。それが地上の暦で何月何日のことだったかは定かではありません。霊界からの通信で時間と空間の問題で今一つ納得のいかない点があることは、私もよく承知しております。しかし、こちらへ来てみてよく分かったことですが、正確に地上の時間にして“いつ”ということを告げるのは、事実上不可能なのです。時間がズレたからといって、それを全面的に私たちの能力のせいにするのは軽率です。そのことについて少しばかり述べておきましょう。

地上の時間は何分・何時間・何日といった区切り方をします。が、それは時計の目盛りを規準にした表現であって、そのほかにも、生活上の習慣で判断していることがあることにお気づきのはずです。たとえば夜明けの明るさで、夏なら何時ごろ、冬なら何時ごろといった見当がつきます。夕方も同じです。この暗さなら、もう何時を過ぎているはずだ、といった判断をすることがあります。さらに疲れぐあいとか空腹感によっても、大体の時刻は時計を見なくても見当がつきます。

さて、こちらでは疲れるとかお腹が空くといったことがありません。日が暮れるという現象も生じません。いつも明るく、いつも元気で、はつらつとしています。従って地上の時間の区切り方でこちらの生活を区切ることは不可能なのです。各自がそれぞれに区切ることはしております。が、地上の間隔とはまったく異なるのです。それゆえ、ある事が“いつ起きたか”とか、“いつ起きる”といったことを正確に述べることができないのです。

そういうわけで、私が初めて地上界と交信を試みたのが地上の暦で正確に何月何日だったかがよく分からないのです。不思議なことに、気分的には何だか最初からここの住民だったような気持なのです。家族や友人のことを忘れてしまったわけではありません。思い出しても、哀惜(あいせき)の情はみじんも感じないのです。なぜだかは定かでありませんが、多分、こちらへ来てみて地上で私が説いていた死後の真実に間違いがなかったことを知って大いに意を強くし、この調子ならみんなも自分のことを安心してくれているだろうと考えたからでしょう。

さて、私が交信を試みたのは、ブルーアイランドの建物の中でのことでした。そこは一度父に案内されてから、よく通っていたところでした。交信だけを目的とした建物ではありません。他にもいろいろと機能があり、私はしばしば利用し、そこで働いている人たちに何かとお世話になっておりました。その人たちはみな親切で同情心は厚いのですが、態度はきわめて事務的です。涙を流して訴える人がいて、気の毒には思っていても、親身になって慰めるといった態度に表わすことはありません。驚くほど組織的で事務的です。何百人あるいは何千人もの人が仕事に携わっております。

地上時代から死後の存在を信じていた人も信じていなかった人も、地上に残した人との交信がしたくなるとそこを訪れるのですが、地上の人間と同じで、そんなことが本当にできるのか、半身半疑の者もいれば、ただの好奇心からやってくる者もいるようです。そういう人はもちろん自己満足しか得られません。成功のカギを握るのは【魂の底からの欲求】です。

私の順番が来て案内されたところは、こんなことで間に合うのだろうかと思うほど簡素な部屋でした。さぞかし地上の通信機関のように複雑な道具や器械があって、電気の配線のようなものが張りめぐらされているのだろうと想像していたのですが、そんなものは一切なく、ただ“人間的要素”があるだけでした。

その部屋で私は、一人の男性からインタビューを受けました。責任ある地位の方であることは一見して分かりました。といって天使のような存在ではありません。私と大して変わらない人間味をそなえておりました。対話はずいぶん長い時間にわたりました。その中で彼は、地上界との交信がどういう具合にして行なわれるかについて教えてくれました。

その話によると、彼の責任のもとに、外交員のような役目をする人たちの組織ができていて、常に地上圏近くに滞在し、霊的通路として役立ちそうな人間、あるいはそれを望んでいる人間を探し求めているというのです。彼らにはそういう人間を“探知する能力”があるらしいのです。そういう人間のリストをこしらえて、その所在位置と能力の程度を調べ上げておきます。そして、新しく他界してきた者が交信を要望した時に対応するというわけです。

それ以来私はたびたびそこを訪れて、いろいろな方法で交信を試みました。うまく行った時もあり、まったく通じなかった時もあります。が、私は地上にいた時からこの種のことに関心を寄せていたせいもあって、必要な援助がそのつど得られるので助かります。

では、私が初めてメッセージを伝達することに成功した時のことをお話してみましょう。その時までは、地上と交信するメカニズムについての講義を受けておりました。それからいよいよ第一回目の試みとなったわけです。

私には一人の案内人、その道の専門家が付き添ってくれました。案内された場所はモスリンで出来たように見える壁で囲まれた部屋でした。つまり部屋は部屋でも、われわれにとっては有っても無きがごとくで、透(す)けて見えますし、何の抵抗もなく通過してしまいます。私一人だったら躊躇(ちゅうちょ)したかも知れませんが、付き添いの人の後について難なく通り抜けました。

その部屋には二人ないし三人の人がいて、タイタニック号の沈没事故を恐ろしげに語り合っており、その犠牲者の霊が戻ってくる可能性も話題にのぼっていたようです。その人たちはそこで定期的に交霊会を催しているのでした。

交霊会が始まると私は、付き添いの人の指導でまず、思念を具象化して出席者の目に姿を見せることから始めました。そのためには私が生身でその人たちの中央に立っている状態を想像し、さらにそれに照明が当てられたという観念を抱き、それをじっと維持しなくてはなりません。自分の容姿を細かく、じっくりと思い浮かべて、その映像が彼らの目の前に実在して、彼らがそれに気づくようにと、その念を私の精神に焼き付けるのです。

やはり最初は二、三度失敗しました。が、ついに成功しました。もっとも、顔だけでした。ウィリアム・ステッドであることを知ってもらうために、まず顔だけを念じたのです。

さらにメッセージを送ることにも成功しました。やり方はまったく同じです。出席者の中でもいちばん霊感の鋭い人のすぐ側に立って、短い文章を思い浮かべ、それを一字一字強く念じることを繰り返すのです。すると、その人の口から同じ言葉が発せられるのが聞こえました。その瞬間、あ、うまく行った、と思いました。

その出席者の中に私の家族はいませんでした。もしいたら、たぶん不成功に終わっていたことでしょう。というのは、私の方はともかくとして、家族の者はその時はまだ私の悲劇的な死の悲しみに暮れていましたから、その感情が邪魔をしていたと思われるのです。

その時の私はまったく冷静でした。それは一つのテストケースとして行なったからです。つまり自分の意志を地上の人間に直接的に伝えることができるものかどうかを試してみる程度の気持で行なったのがよかったのでしょう。

《(注釈)ここでステッドが行なった通信方法は、数ある方法の中の一つにすぎない。シルバーバーチ霊が行なったように霊界の霊媒を使用する場合もあるし、物質化現象の場合は霊界の化学者が手伝う。また直接談話現象でもエクトプラズムで発声器官をこしらえるので化学者の参加が必要である。自動書記現象になるとまた勝手が違うし、直接書記、つまり人間の手も使用せずに書く場合は、さらに複雑となるのであろう》

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