《3章》“道理”を弁(わきま)える動物たち

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馬が犬のように人間の家庭の中に入ることがなかったのは、図体(ずうたい)が大きすぎるからでしょうか。でも、この大きすぎるペットも、人間との長いお付き合いによって、人間的性向をいくつか身につけており、時には動物の本能的な賢さをはるかに超えた、理性的判断力と知能を見せることがあります。

エルベルフェルト(旧西ドイツ)のカール・クロール氏が育てた馬には、ひづめを踏み鳴らすことで対話をしたり、難しい数学の問題を解くことができるものが、何頭もいました。平方根や三乗根の計算ができるものもいたといいます。

これには多くの科学者の証言があります。『青い鳥』で有名なメーテルリンクもエルベルフェルトを訪ねて実験しています。そのうちの一頭はメーテルリンクも解けない数学の問題を見事に解いています。また、平方根を求める問題を出したところ、そのうちの一問には答えようとしないので、あとで調べてみたところ、その数字には平方根がないことが判明したとのことです。

こうした話を聞くと必ず、それは何かのサインを使って飼い主が教えたのだろうと言う人がいますが、その後、目の見えない馬を使った実験で完全に否定されています。これから紹介するのは、米国の心霊研究家のアーサー・ゴードビー氏による調査を受けた、ブラックベアという名のシェットランド産のポニー(小型の馬)の話です。

飼い主はニューヨークのトーマス・バレット氏で、買ってすぐからそのブラックベアが人間の言葉に素早く反応するだけでなく、動物には考えられないほど高度な判断力を見せることに気づき、アルファベットを教え込んで簡単な単語を覚えさせ、単純な算術を教えていきました。

ところが、そのブラックベアの能力はバレット氏の能力をしのぐほどに進歩し、それが話題を呼んで、いろんな人が見物に来るようになりました。

中には飼い主のバレット氏がトリックを使っているに相違ないという見方をする人が多くいました。では、そうでないところをお見せしましょう、ということで行った実験がうまくいくと、「なるほど」と得心するよりも「バレット氏はショーの天才だ。実に巧みにやるもんだ」といった受け止め方をする始末でした。

本格的な調査を目的に訪れたゴードビー氏も、最初はあまりの見事さに戸惑ったほどだといいます。が、繰り返し調査をしていくうちに、バレット氏は故意にも無意識にもトリックは使っていないとの結論に達しました。

実はゴードビー氏が初めて訪れた時に、英国の心霊研究家のブライ・ボンド氏も同行していました。ボンド氏は『記憶の中の修道院』(*)という著書で有名な研究家で、本来は牧師で宗教建築士で考古学者という多彩な能力の持ち主です。

《(*)これは二人の霊媒による自動書記通信をまとめたもので、通信してきた霊は英国のグラストンベリにかつて存在した古い修道院の敬虔(けいけん)な修道士。その通信が届けられた時点ではそこに修道院が埋もれていることは知られてなかった。それが発掘作業によって事実であることが判明したというもの。その修道士は地上時代の修道院のすばらしさが忘れられず、今もその土地に執着して、一歩も向上できずにいる。こういうのを〝地縛霊〟という――訳者》

ボンド氏はブラックベアの数学(算数ではない)の能力に着目しました。もはや飼い主のトリックなどという言い掛かりは問題にならないと判断していました。

ボンド氏は黒板に正方形を描き、対角線を引いて、これを何と呼ぶかと聞いてみました。“対角線”という答えが返ってくるかと思ったら“三角形の斜辺”という返事が返ってきたというのです。奇妙な答え方ではありますが、間違いではありません。

次に出した問題は、一辺が五単位の正方形の対角線の長さは? というもので、単位(一センチとか二インチとか)を特定しないでおきました。ブラックベアは間髪を入れずに“7”と答えましたが、すぐあとで首を振りながら後ずさりしました。

どうやらブラックベアも、単位を特定していないので、正確な数字は出せないことが分かったようでした。しかし、いかなる単位にせよ“7”がいちばん近い数字であることは間違いありません。

こうしたテストによって、ブラックベアの能力が人間の能力としても高等なものであることから、ゴードビー氏は超能力の可能性もあるとの見方を強めて、その側面からの調査を始めました。

まずブラックベアにこんな質問をしてみました。

「私の頭のまわりに何か色が見えますか」

この質問にブラックベアはすぐさまうなずいて、ゴードビー氏に近づき、鼻の先をゴードビー氏の額(ひたい)に当てがいました。

「何の色?」と聞くと

「明るい」という答えです。

「明るい何色ですか」と聞くと、驚いたことに

「明るい光線」と答えたのです。

なぜ驚くべきことかといえば、ゴードビー氏は“色”の種類を求めていたのに、その暗示にのらずに“光線”と答えたからです。

そこでゴードビー氏がさらに探りを入れる質問をしてみたところ、その部屋に、いつもの人たちとは違う姿が見えていることが分かりました。

何人いるかと尋ねると、男性が何人で女性が何人、と答え、その人たちの名前が分かれば教えてほしいというと、答えようとしません。どうやら返事を遮られている様子でした。さらに質問しようとすると、その人たちはもういないとの返事でした。

明らかにこのブラックベアには人間の〝背後霊〟がついていたということです。

これほどの霊的能力を持つ馬ですから、テレパシーにも反応して当たり前ですが、ある実験によって、必ずしもテレパシーではない、つまり質問者の脳裏にある答えを読み取っているのではないことが判明しています。

それは一八六一年の米国の大統領について質問をした時で、「誰か」という質問にはあっさりと「リンカーン」と答え、暗殺されたのがワシントンにいた時であることも、いとも簡単に答えました。

そして、その暗殺者の名前を訪ねると

「ブース」とだけ答えるので

「呼び名は?」と尋ねると

「ウィルクス」と答えました。この答えが問題なのです。ゴードビー氏の解説を紹介しましょう。

「ブラックベアは図書館へ行って本を読むなどということをするはずがない。大学へ通ったわけでもない。家庭教師がいるわけでもない。十一年間をたった一人で、いや一頭で馬小屋の中で過ごし、時にはいろんな催(もよお)しに連れて行ってもらったくらいのことです。

そうした事情から考えると、右の暗殺者についての返事は実に不思議です。どの歴史書をみても暗殺者の名前は『ジョン・ウィルクス・ブース』と出ています。ところが彼の仲間たち(彼は俳優だった)の間では『ウィルクス・ブース』と呼ばれていたのです。

なぜブラックベアはその名前で答えたのでしょうか。かりに書物を読んだか、あるいはわれわれの頭の中から読み取ったとしたら、『ジョン・ウィルクス・ブース』と答えたはずなのです」

このことから、かつてのブースの仲間が背後霊としてブラックベアに答えを教えていたということが想像できるわけです。結論としてゴードビー氏はこう述べています。「ブラックベアは知能では驚異的とはいえませんが、霊界の人間からの通信を受け取る、動物としては珍しい霊的能力をもっているようです」

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